ニホンオオカミは100年以上前に絶滅したと言われるが、かつて日本では山の神の化身やお遣い=ご眷属様(ごけんぞくさま)=と捉えられ、大切に祀られていたという。東京を取り巻くように位置する奥秩父から奥多摩の山域では、古くから狼信仰が盛んで今なお目撃情報も多い。その背景に魅せられた林道子は秩父の山に通うようになった。狼は、古(いにしえ)の日本の人々にとってどのような存在であり、人々はどのように狼と相対して来たのか。本作品では、獣としての狼の存在と痕跡を奥秩父から奥多摩の山域に探りながら、山に暮らす人々の間に伝わってきた狼にまつわる民話や伝承の視覚化を試みる。静謐かつ臨場感溢れる作品と出会うことで、来場者は自身の中に潜在するプリミティブな感覚と対峙することだろう。
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林 道子
東京生まれ。東京藝術大学にて日本美術史を学ぶ。企業の宣伝部に勤務し、在職中に参加したワークショップCORPUSにて細江英公・森山大道らに出会う。退社後、東京工芸大学芸術学部写真学科の研究生を経て、2001年よりフリーランスの写真家となる。人間と自然の関わりと断絶をテーマに写真プロジェクトに取り組んでいる。2016年、Reminders Photographie Strongholdの写真集制作ワークショップ「Photobook As Object」に参加。2017年、日本狼についての手製本の写真集「Hodophylax: The Guardian of the Path」を出版。2018年、同作品にてKYOTOGRAPHIEのポートフォリオレビュー賞“FUJIFILM AWARD”大賞を受賞。
関連イベント
- トークセッション
- 林道子 × 写真家 森山大道
- 10月 27日(土) 14:00 〜 15:00
- 会場: FUJIFILM SQUARE
- 事前予約制(各回・先着 150 名)
9月 25日(火) 13:00 より予約申込の受付を開始
(フジフイルム スクエア館内でもお申込みができます)
- FUJIFILM SQUARE
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〒107-0052 東京都港区赤坂9丁目7番地3号
東京メトロ日比谷線「六本木」駅地下通路にて直結
都営大江戸線「六本木」駅8番出口と直結
東京メトロ千代田線「乃木坂」駅3番出口から徒歩5分